腸脳相関に乳酸菌EF-2001が関与!
~金沢大学只野先生からお話をお聞きしました~

Q1. 新型コロナが猛威を振るう中、腸内環境を改善し健康維持をするための「乳酸菌EF-2001」を活用した免疫力向上が注目されていませんか?

只野:2017年に既に私たちの研究室では、マウスの腸管、難しく言えばその中のパイエル板というところがあって、それが免疫細胞であり、その免疫細胞の中のIgAとIgG1の抗体を測りました。

色々な乳酸菌の中でラクトバチルスという生菌体は食品にも入れて使われていますが、それをポジティブコントロールと言って、比較対象の乳酸菌として使った場合に、圧倒的にIgA抗体はEF-2001株で上昇し、ラクトバチルスは上昇しなかった。

IgG1はどちらも上昇するが、IgAはEF-2001株だけが上昇していくことを既に2017年
Pharmacometricsの雑誌に発表しています。

それを、これから人でIgA抗体免疫を唾液で測ろうと計画しています。

Q2. 「腸内」から連動して「脳内」も改善する「腸脳相関」のメカニズムとは?

只野:まず最初に、腸内環境が悪いということは、だいたい40種類以上の疾患(大腸がん、炎症性腸疾患、アレルギー性疾患)の原因だと言われています。

腸内環境を良くしないと健康にはなれませんということですが、最近腸内環境の中で、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群など色々な腸の炎症性疾患が、「うつ病」も起こす。あるいは不安という精神疾患に繋がってくることがアメリカでも言われてきていました。

ただし、その発症メカニズムは未だに詳しくわかっていません。そこで我々は何が原因で「うつ病」が起こるのか?ということを最初にやりました。

腸の炎症を起こす動物、つまり潰瘍性大腸炎のモデルマウスを作り、そのマウスが、「うつ」が起こるかどうかを調べた結果、うつ病の行動が起こって来るということをまず確かめる必要があります。

その時に何が原因で「うつ」が起こるのか?を調べると炎症によって腸から、インターロイキン6というサイトカインが分泌し、それが脳に行き、海馬の神経新生という新しい細胞を低下していくということが分かった。

すなわち神経変性を起こすことによって「うつ」が起こるということを、最初に画像解析で証明しました。

次に、EF-2001株が潰瘍に効くのかということを調べるために、20日間マウスに飲ませました。そうしますとまず潰瘍が治りました。そして潰瘍が治った後に、神経変性を起こす物質IL-6(インターロイキン6)がどうなっているかを調べた結果、分泌が抑えられ、その結果、脳に行かなくなるので、うつ様行動が無くなります。

つまり、潰瘍が改善され、その結果「うつ」が改善されるということを、この乳酸菌で証明されたという訳です。

Q3. 乳酸菌はどんな乳酸菌でもこの作用は有効ですか?

只野:すべての乳酸菌で検証をしていないのですが、このEF‐2001株という我々が使った乳酸菌は、今までに様々な改善効果(便秘、肝機能、記憶障害、口腔カンジタ症)が出てきています。特に免疫領域を対象に行っていますが、他の乳酸菌と比べた場合には圧倒的に有効性が高いということがわかっていますから、乳酸菌なら何でも良いというわけではないと思われます。

有効だという理由は、製造メーカーでは、免疫領域において製品出荷前にテストを2回実施している。その免疫テストの70%以上の効力が無ければ出荷しない。それが他社との大きな違いです。

乳酸菌を扱っている会社で、そこまでやっている会社は他にはないのではないでしょうか。

Q4. オンライン、リモートなど人に会う機会が減り、「心のケア」もカバーできるのは?

只野:今オンラインやリモートで在宅勤務と言われる会社に行かないで仕事をしている人が、非常に増えていますね。一番懸念するのはやはり、在宅中、人と会わないということは、必ずフラストレーションが掛かり、物凄いストレスが負荷される、ということです。

当然そうすると、腸内環境も良くないだろうと考えられ、精神的に大腸炎ではないが、腸から脳につながる信号が極めて損なわれますので、腸管の機能や環境が悪くなると精神不安が90%位発症してくると思われています。

もちろん、その逆もあります。脳にストレスが負荷されると腸内環境が悪くなることもありますが、圧倒的に腸内環境が悪くなると、90%以上は精神疾患に繋がってくるということを考えると、当然、普通の状態で働いているよりは、在宅勤務やオンラインシステムなど、人と話さないコミュニケーションを取れないというフラストレーションが掛かってきますので、腸内環境も悪くなる。

当然そうなってくれば、こういう乳酸菌が必要ではないでしょうか。と個人的には思います。

プロフィール

薬学博士
只野 武

1945年生まれ。1970年、東北薬科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部留学後、東北薬科大学教授(現 東北医科薬科大学)として教育と研究に従事。アルツハイマー病、統合失調症などの動物病態モデルを作製し、認知症などの治療薬の開発に邁進していた1992年、滋養強壮ドリンク剤(ゼナ)の抗疲労効果を国内で初めて動物実験により立証。以後サプリメント研究のリーダー的存在として知られる。

金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 臨床研究開発 公衆衛生学講座
北海道医療大学 客員教授
横浜薬科大学 客員教授
東北医科薬科大学 名誉教授


2020年Journal of Neuroinflammationに論文掲載 「デキストラン硫酸ナトリウム処理マウスの大腸炎および抑うつ様行動に対するEnterococcusfaecalis2001の影響:脳腸軸の関与」
https://jneuroinflammation.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12974-019-1580-7